こんにちは、獣医師の林です。
今日は『必須脂肪酸』についてのお話です。
脂肪酸とは、脂肪が分解されるときにできる栄養素で、体内で合成できるものとできないものがあり、体内で合成できないものを『必須脂肪酸』と呼びます。
必須脂肪酸は体内で生成できない=食べ物から摂取しなくてはいけません。
また、少しややこしく、脂肪酸には不飽和脂肪酸・飽和脂肪酸という分類方法もあり、
不飽和脂肪酸はさらに細かく分けると一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けることができ、今回お話しする必須脂肪酸は『多価不飽和脂肪酸』に含まれます。
多価不飽和脂肪酸はさらに分類すると、オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)と呼ばれるものと、オメガ6脂肪酸(n-6脂肪酸)と呼ばれるものに分類されます。
オメガ3、オメガ6という名前であれば、少し耳にしたことがあるかもしれませんね。
それぞれ
オメガ3:α-リノレン酸、DHA、EPA
オメガ6:リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸
といった成分に分類されます。
ここで気を付けたいのが、体内で分解できるか否か。
α-リノレン酸は、体内の酵素の働きでEPA、DHAに変換することができますが、この酵素、人でも十数%程度しか持ち合わせていないと言われており、犬で2~3%程度、猫はほとんど持っていないという報告があります。
オメガ3脂肪酸の効果効能である、抗炎症作用や血流改善(血液サラサラ効果)、脳神経系の調整などが発揮できるのはEPA、DHAに変換されてからの事。
そのため、犬猫さんでこれらの効果効能を期待する際に、α-リノレン酸という形で取り入れるのではなく、直接EPA、DHAという形で摂取することをお勧めします。
また、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸はバランスが大事!
理想的なバランスは、オメガ3:オメガ6=1:2~4と言われています。
このバランスだけを見ると、オメガ6を多く摂らねば!!と思われると思いますが、オメガ6脂肪酸は肉類やコーン油、大豆油、ごま油などに含まれていますので、市販フードを使用されている場合であれば、意識して取る必要性はさほどない脂肪酸になります。
オメガ3脂肪酸は酸化しやすいため、フードに『オメガ3脂肪酸添加』と記載があっても、時間とともに酸化脂質となりますので、本来のオメガ3脂肪酸とは異なるものとなってしまいます。
そのため、オメガ3脂肪酸はできるだけ新鮮な状態で与えてあげるのが理想。
ご愛犬、ご愛猫に与える「直前に」フードや手作りご飯にプラスしてあげると良いですね。
オメガ3脂肪酸にもさまざまな種類がありますので、色々お試ししてみることをお勧めします。
この記事を書いた人
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獣医師
林美彩 先生